こんにちは、ばんどうです。
今回は静岡県静岡市の由比(ゆい)という所へいってきました。
この建物は室町時代(1336年 – 1573年)末期の名所図絵には、その名を残しているそうです。その名を「望嶽亭・藤屋(ぼうがくてい・ふじや)さんといいます。
なぜ「望嶽亭(ぼうがくてい)というかといえば、江戸時代に入り由比(ゆい)~興津(おきつ)の宿場の間に「間の塾(あいのじゅく)」として旅館をやっていた頃は、「茶亭藤屋」と呼ばれその離れ座敷から富士山の眺望が絶景であったとの事から、望嶽亭(ぼうがくてい)と呼ばれるようになったと伝わっています。
又、版画で有名な「広重(ひろしげ)」の東海道五十三次の版画の内、由比(十七)の絵には当時の藤屋さんが描かれています。(すごいですね!)
旅の文人なども多く宿泊し、白雲禅師、寛政の歌人大伴大江丸、等々名だたる人物も常宿として使用したそうです。
この、望嶽亭では取り分けて有名な事件があります。
時は明治元年三月七日幕臣の精鋭隊長の「山岡鉄太郎(三十二歳)」が最後の将軍と呼ばれる「徳川慶喜(とくがわ・よしのぶ)」の密命を受け駿府(すんぷ)にいる「西郷吉之助(さいごう・きちのすけ)」と無血開城の談判に赴く途中、菩薩峠で官軍に追われ引き返し「望嶽亭」に助けを求めた事件です。
このとき当時の当主が網元でもあった事から、機転を利かして漁師の姿に変装させて奥座敷の隠し階段から地下を通って海に逃がしたという。その際、「山岡鉄五郎(後の山岡鉄舟やまおか・てっしゅう)」は「徳川慶喜」から護身用にと拝領したフランス製十連発のピストルを残していった。
九死に一生を得た山岡鉄五郎は、二日後の三月九日海軍総裁「勝海舟(かつ・かいしゅう」の紹介状を持ち「駿府上伝馬松崎屋(すんぷ、じょうでんま、まつざきや)」にて「西郷吉之助(後の西郷隆盛(さいごう・たかもり)と会談を行い数日後の「勝海舟」と「西郷隆盛」との間で締結(ていけつ)される事になる「江戸城・無血開城(えどじょう・むけつかいじょう)」のきっかけを作ったとされる。このときに「山岡」が「西郷」に「命もいらず名もいらず、金も役職もいらない…」と言った言葉はあまりにも有名です。
もし、無血開城が行われなかったときには江戸及びその周辺の地域一帯が火の海となり、ひとたび焦土(しょうど)と化(か)せば現代の技術を持ってしてもその復興には最低二十年以上かかるであろうといわれている。
又、当時「黒船」が来港し、日本の世情は騒然となっており「幕府」と「新政府軍」の」争いの中、日本はアメリカなどに支配されていたかも知れない。
「無血開城」には、その他にも尽力した人物が居るが、とりわけ重要な役割を担ったのである。
もし、「望嶽亭」が無かったら、
もし「無血開城」がなされなければ…と考えると、この「望嶽亭・藤屋」も大きく日本の歴史に関わった事になる。
望嶽亭は「静岡のテレビ」や「NHKのそのとき歴史は動いた」などで紹介されたのはここ数年前らしいですが、それまでは地元の人にさえ知られていなかった現在の当主は二十四代目となるが、二十三代目の方が絵が大変上手で由比の街には「桜えび通り」という商店街があってその一角には二十三代目の当主「松永宝蔵」氏が描いた東海道五十七次(?)の絵と、それを基にして造られた「やじさん」、「きたさん」の実物大模型が話しかけてくる博物館もあります。
私が訪れた際には二十四代目の当主の妹さんがいて、この日始めてお会いしたのにも関わらず大変親切にして戴き、三十分位の滞在予定時間を大幅に上回り四時間近くもおつきあい戴き、少し遅い昼食をまで御一緒させて戴き,とても有意義な時間を過ごす事が出来ました。
この施設の事は毎週(木)にBS放送141Ch、「片岡愛之助の歴史捜査」という番組を偶然見たのがきっかけです。しかも、普段見ない放送ですが手違いで録画されていたものを数日後に見て知ったのです。この日は、ひと月も前から伊豆の方に旅行に計画をしていたので、少し足を伸ばしてお邪魔しました。
この施設は普段無人です。入場料は無料ですが予約が必要です。多いときは一日百人以上の見学者が来場するそうです。一度に案内できるのは20~30人位なので相当待つ事になります。
お伺いした日は何と予約時間に遅れる事、渋滞で一時間半も遅れてしいました。そのとき他にいた見学者は不思議な事に偶然通りかかったご夫婦と、予約の事を知らずに北海道からここを目指して来た女性二人だけでした。
私が遅刻をしなければ後のお二方との出会いはなかったでしょう。望嶽亭さんにはお待たせしてしまってすいませんでした。又貴重な時間をおつきあい戴き本当にありがとうございました
是非皆さんも訪ねてみて下さい。山岡鉄舟の使った地下通路への階段も体験できますよ…案内してくれる方は二十四代目のご兄弟が交代でされているそうですが、テレビで見た人が出迎えてくれたので初めて会ったような気がしませんでした。北海道から来た方は、同じく放送を見てきたそうで施設そのもの以上にその人に会えたという感激のあまり顔がグチャグチャになっていました。何か不思議な出会いを感じたのは私一人だけではなかったようです。
(文中の多くは望嶽亭の案内パンフより引用させて戴きました)
追記
この日案内をして戴いた方は「静岡・山岡鉄舟会」の幹事もされている「手塚 喜和子」さん、という方です。心の広い、お人柄の良い方です。会えればきっと皆さんも来て良かったと感じるはずです。
望嶽亭・藤屋情報
○住所 :〒421-3115 静岡市清水区由比西倉澤84-1
○☎ :054-375-3486
○利用料金 :無料
○利用時間帯 :9:00~15:00(個人宅の為予め連絡をして下さい)
○交通案内 :JR由比駅から徒歩25分(約2㎞)
東名高速道路・清水ICから約10